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JDA2019国際ファイナリストTOP20に日本人チーム2組が選出 法政大学大学院チームによるPROLO、大阪大学大学院及び大阪市立大学チームによるUbitone

一般財団法人 ジェームズダイソン財団は、次世代のエンジニアやデザイナーの支援・育成を目的に、財団が主催する国際エンジニアリングアワード、JAMES DYSON AWARD 2019 (以下、JDA) の国際ファイナリストTOP20を発表しました。世界27の国と地域、応募総数1,000超の中、日本からは法政大学大学院チームによる、自転車利用時の子どもの安全を守るPROLO、大阪大学大学院及び大阪市立大学のチームによる、盲ろう者のコミュニケーションをサポートするウェアラブルデバイスUbitoneの2作品が選出されました。

PROLOは子どもの自転車利用時における安全性を行動様式に着目したシンプルでスマートな解決策です。Ubitoneは盲ろう者に向けた全く新しいコミュニケーション方法を提案しています。両作品ともにJDA募集課題である、問題解決を体現し、革新的で他とは違うアプローチが高く評価されました。

ダイソンのデザイン・新テクノロジー担当バイスプレジデントを務めるピーター・ギャモックは、全体を総括し次のように述べています。「今年見てきた参加作品の幅広さと志は突出しています。若きエンジニアたちはグローバルな課題に直面しながら手を休めることなく活動を続けており、より良い未来を創造するための手段としてテクノロジーを捉えています。シンプルで独創的なコンセプトがいかに人々の暮らしを激変させる力を持つか、彼らがはっきりと証明しています。」

選出された作品には単一素材のおむつから非接触ブレーキ、魚を原料としたプラスチック代替品があります。発明家はデザインの形状や機能を考えているだけでなく、社会と環境の両側面を捉え、科学とテクノロジーの天才的な応用を通じて人々に新たな価値を届けようとしています。また、今回初めて女性ファイナリストが約半数を占め、その作品はMarinaTex, Continuity, Cocoon, Sumo, AirDisc, Afflo, With U, Nah Yeah Buoy, PeritoneXに及びます。国際TOP20の詳細は下記作品紹介及びJDAホームページをご覧ください。

今後、ダイソン創業者で最終審査員を務めるジェームズ ダイソンがTOP20作品の審査を行い、国際最優秀賞1作品と準優秀賞2作品を決定します。結果は11月14日(木)に発発表予定です。国際最優秀賞受賞者には、賞金30,000ポンドを、受賞者が在籍または卒業した教育機関には寄付金5,000ポンドが贈られます。また国内表彰式セレモニーは11月20日(水)18時よりダイソン株式会社にて開催します。

国際ファイナリスト 作品一覧 (ABC順)

PROLO, 日本

製作者:
守屋輝一、児玉裕己、高見澤諒、中村友優、石黒雄大、上田雄翔、阿部俊介氏
法政大学大学院 デザイン工学研究科 システムデザイン専攻


頭部外傷は自転車事故による外傷の中で最も多いものです。ヘルメットを着用していない場合の致死率は着用時に比べて2.5倍高くなります。それにもかかわらず日本でヘルメットを着用している自転車利用者は全体の25%に過ぎません。
チームが設計したのは、ヘルメットと自転車ロックの連動システムです。その目的は、子どもたちがヘルメットを着用せずに自転車に乗るのを防ぐこと。赤外線LEDとフォトトランジスタを使用してヘルメットの着用を検知し、ヘルメット着用時のみ自転車機構のロックを解除します。

 

Ubitone, 日本


製作者:
山蔦栄太郎氏 大阪大学大学院 工学研究科機械工学専攻
小西真広氏 大阪市立大学 電気情報工学科


視覚障害者のための最も一般的な読み書きのシステムである点字は1821年に発明され、今日に至るまでほとんど変化していません。Ubitoneは点字の代用となる、盲ろう者を支援するコミュニケーションデバイスです。触手話などの特別な知識を持たない人たちともコミュニケーションを取ることができます。機械学習技術である音声認識と点字辞書を使用して、盲ろう者が理解可能な形式に音声を翻訳します。スマートフォン上のアプリはBluetoothを介して機器とリンクし、処理を実行して情報を伝達します。これによって新しい世界が広がる可能性があります。ポッドキャストやテレビ番組、ラジオをリアルタイムで利用できるようになるのです

Aeroflux Contactless Brakes, カナダ

世界中の航空宇宙メーカーは、2005年から2050年までに航空機による炭素排出量を50%削減すると約束しています。現代の航空機で最も無駄の多いシステムのひとつがブレーキです。 従来の多板カーボンブレーキは摩擦に頼って航空機を停止させます。このブレーキは摩耗が早いため、頻繁な交換が必要です。Aerofluxは「渦電流ブレーキ」の原理を利用して、摩擦なしで航空機を停止させるため、摩耗することはありません。2つの導電性・非強磁性ディスク(ローター)の両側に磁場が印加されます。ローターは航空機の車輪にキー止めされており、車輪が回転しているときに磁場の中を回転します。ローターが定常磁場を横断すると、ローターに小さな円電流(渦電流)が生じます。渦電流は、定常磁場に対向する方向に自身の磁場を発生させます。これらの磁場の相互作用がローターに抗力を加え、その結果ブレーキトルクが発生します。

 

Afflo, 英国

喘息は世界中で2億3,500万人が罹患している疾患で、英国の国民保健サービスの負担は毎年10億ポンドにも上ります。喘息患者は外的な誘因に反応して呼吸困難に陥ります。誘因を個々人の症状に突き合わせることは困難で、現在は試行錯誤と旧式の喘息管理ツールによってこれを行っています。 AI対応のウェアラブルデバイスであるAffloは、喘息の症状をモニタリングして誘因を予測。利用者が自身の喘息管理についてデータに基づく決定を下すことを可能にし、クオリティ・オブ・ライフを向上させます。専用のマイクを通じて呼吸の音声信号を収集します。その信号を、2次センサーバンドルによって収集した環境情報と合わせて追跡記録。これを機械学習アルゴリズムによって分析し、患者一人ひとりに固有の誘因パターンを予測します。

 

AirDisc Cooling Technologies, フィリピン

現在の空調システムは、冷媒として地球温暖化の原因となるハイドロフルオロカーボン(HFC)を使用しています。 AirDisc Cooling Technologiesは、大気中の水分と空気分子を組み合わせて冷却システムを構築し、エネルギー使用量を最小限に抑えて地球温暖化に対処します。一般的なエアコンでは1時間あたり1,500Wの電力が必要なのに対し、AirDisc空調装置の消費電力は1時間あたりわずか150Wです。

 

Airin, スペイン

世界中で7万人、スペインでは毎年新たに1万3,000人の患者がストーマ手術を受けています。この手術の後には、しばしば2つの大きな問題が発生します。粘膜皮膚の呼吸困難とストーマ狭窄です。Airinは手術後のストーマ患者のクオリティ・オブ・ライフを改善し、入院期間を短縮できるように設計された医療機器です。この装置は革新的な閉回路にエアーアイソレーションとポンピングシステムを採用して潰瘍を予防します。

 

Caeli, インド

デリーは世界で3番目に大気の質が悪い都市です。市内の大気質が特に悪い場合、多くの喘息患者が入院を余儀なくされます。中には不幸にも命を落とす人もいます。
Caeliは大気質が悪い時期も患者の健康を確保し、クオリティ・オブ・ライフを向上できるように開発されました。この大気汚染対策用マスクは6層のフィルター(微粒子、カーボンおよびHEPA)と遠心ファンで空気をろ過し、清浄な空気の流れを途切れることなく提供します。マスクには大気質を監視するセンサーも搭載され、アプリにデータを送信できる他、薬剤吸入器も搭載されているため必要に応じて薬を服用することができます。

Cocoon, 米国

疾病予防管理センターによると、340万人のアメリカ人が進行中のてんかんを患っています。発作時に安全な場所を見つけるのは必ずしも容易ではない上に、その場に居合わせた人が発作の識別や応急処置について十分な知識を持っているとは限りません。Cocoonはスマートなてんかん発作予防・警報装置です。発作の初期に前兆を感じると、てんかん患者はCocoonを開いて横向きに寝転がり、顔を覆わないように頭の上からかぶります。装置が開くと磁気センサーが検知し、あらかじめ指定された世話人にてんかん患者のGPS座標を通知します。発作が5分間以上続くと加速度計が痙攣を検出し、携帯電話に接続されたチップが救急車の出動要請を行います。

 

Continuity, オーストラリア

糖尿病は世界中の10人に1人、約4億1,500万人が罹患していると言われます。現在モニタリングと治療に使用されている侵襲性糖尿病用装置は、扱いが難しく使用に多くの時間を要し、使用者の自由と柔軟性を制限します。Continuityはイヤリング型装置によって非侵襲的に血糖値をモニタリングします。高周波とセンサーを使って血球を測定し、震動で使用者に血糖値の変化を知らせます。補完器具の携帯型インスリン投与装置は口腔スプレーでインスリンを投与。どちらの装置もBluetooth経由でアプリと交信し、これを医療関係者がモニタリングすることができます。

 

Eddy, オーストラリア

マイクロプラスチック汚染は海洋環境に対する最も深刻な脅威のひとつです。この汚染を引き起こしている最大の原因のひとつが、洗濯中に合成衣類から放出される繊維です。6kgの洗濯物の場合、一度に最大70万本のミクロ繊維が排水溝から海洋生物のもとへ排出される恐れがあります。Eddyは渦流およびマイクロメッシュフィルターを採用した洗濯機用の後付け可能な濾過システムです。ミクロ繊維が堆積し、洗濯に使われた水とともに洗濯機から排出されるのを防ぎます。装置に吸引ホースを接続し、捕らえた繊維を取り除くことができます。

 

FloaX, 台湾

新たな設計の排水溝であるFloaXは、浮力を利用して蚊や病気の蔓延を抑える機能を備えます。静止時には浮きが穴を塞いで蚊や悪臭を防ぎます。排水時には水によって浮きがシャッターから浮き上がり、排水が促されます。洪水時には水の浮力によってフラップと浮きが持ち上がって上部の開口部を塞ぎ、水が急激に溢れ出るのを抑えます。

 

Gecko Traxx, オーストラリア

海岸線に恵まれた国では、手動式車椅子の利用者が自分の住む国を思う存分楽しむために四苦八苦する場合があります。Gecko Traxxはオフロードへのアクセスを可能にする、持ち運び可能で手頃な価格の手動式車椅子用パーツです。独自のタイヤ断面は車椅子に装着しても邪魔にならず、地面に接触すると広がって必要に応じて接触面を3倍に増加させます。シンプルな一体型クリップはあまり器用でなくても使用でき、利用者が車椅子から移ることなく独力でタイヤを車椅子に取り付けられます。

 

MarinaTex, 英国

英国では毎年500万トンのプラスチックが使用され、その半分近くが梱包材であると推定されています。さらに水産加工によって毎年49万2,020トンの魚廃棄物も生み出されています。 MarinaTexは有機魚廃棄物と地元産の紅藻で作られた生分解性の使い捨てプラスチック代替品です。見た目と感触はまるでプラスチックのようですが、似ているのはそれだけです。石油ベースの同等製品よりも強く、より安全で、はるかに高い持続可能性を備えています。紅藻独自の組成を利用して、魚廃棄物から抽出されたタンパク質を結合。強い重複結合によって強度と柔軟性を生み出します。家庭用の食品廃棄物処理装置で4~6週間以内に分解されるため、国による専用の廃棄物管理インフラを必要としません。

 

Nah Yeah Buoy, ニュージーランド

離岸流はニュージーランドを含む多くの国において、救護員による救助活動と海水浴客の溺死を引き起こす主な原因のひとつです。しかし現在のところ、海水浴客のために離岸流を特定して伝達する効果的な方法はありません。 Nah, Yeah Buoyは海岸付近の離岸流を特定してその位置と動きを視覚化し、対話型の警報や警告を救護員と海水浴客に提供するための水上安全用適応システムです。各ブイは底部に専用の流量センサーを備え、流れる海水の強さとスピードを測定します。上部に設置された高輝度のライトが危険度を表示すると同時に、救護員が使用できるようにブイからアプリに向けて情報も送信されます。

 

PeritoneX, 米国

腹膜透析では、腎不全の患者の腹部に手術でカテーテルを挿入します。患者のほぼ2人に1人が腹膜炎を発症します。このことが、腎臓専門医が患者に腹膜よりも施設透析を推奨する主な理由のひとつになっています。PeritoneXは汚染された透析管の末端を内部消毒して感染を防ぐことで、安全な在宅透析を可能にします。この装置は真空機構を利用して0.55%次亜塩素酸ナトリウムを接続空間に流し込み、接続された管の末端を消毒します。2秒間の滞留時間の後シリンジは自動的に引っ込み、患者からの補助なしでチャンバーから液剤を引き抜きます。消毒プロセスはクローズドシステムで行われ、2次汚染事象を防ぐために透析処置の間維持されます。

 

Schistoscope, オランダ

住血吸虫症は亜熱帯および熱帯地域の淡水に生息する寄生虫によって引き起こされます。2015年には世界中で約2億5,200万人が住血吸虫症に感染し、毎年推定で4,400人から20万人が死亡しています。この病気はアジアや南米、そしてアフリカで最もよく見られますSchistoscopeはこの住血吸虫症の診断プロセスを簡素化。ポイント・オブ・ケアでの診断を可能にします。新しいフィルタリング方法によって生成される1枚の写真に尿サンプルを記録し、アルゴリズムによって感染の程度を検出します。シンプルながらもスマートなオンサイト診断デバイスです。1日に最大50回の検査を実施できるため、手頃な価格で診断を受けられるようになり、遠隔地における住血吸虫症の管理と排除が大幅に改善されます。

 

Self-sanitising door handle, 香港

世界中でどれほど多くの人の手が公共の場のドアの取っ手に触れているのか、じっくり考えたいと思う人は誰もいないでしょう。しかしながら、SARS、MERS、手足口病など、多くの感染症は接触を介して広がります。 香港の発明家チームが開発したSelf-sanitizing door handleは、先進的な光触媒技術とブラックライト技術を駆使してドアの取っ手に付着した細菌を分解し、取っ手を介して感染症が広がる危険性を最小限に抑えます。

Sumo, スイス

使い捨ておむつは、ごみ埋立地に占める割合が3番目に高く、分解に500年を要します。おむつはすべての赤ちゃんの必需品ですが、持続可能性を高める方法を見つけ出す必要があります。ユーカリの抗菌繊維と藻類エキスを原料とする、生分解可能で吸収性のあるおむつ、Sumoがこの問題に解決策を提供します。リサイクルに最適な初めての単一素材おむつで、リサイクルプロセスにおける廃棄物、処理、時間、コストを最小限に抑えます。

 

Tilbaka, ベルギー

青年期特発性側弯症は11歳から17歳の間に発症する脊椎の異常弯曲です。この病気の治療はバックブレースを使って行われます。しかしながらこのブレースで経験されるさまざまな問題は半年に一度管理されるだけで、頼りになるのは専門家の経験と患者の限られたフィードバックのみです。 Tilbakaは身体に圧力を加えて脊椎の弯曲を矯正する代替バックブレースです。柔軟な圧力センサーを使ってデータを収集し、ブレースのケアと機能性を改善できます。デジタルシステムの統合と調節可能な圧力パッドの使用により、患者の体形だけでなく患者の特定の活動に合わせたブレースのカスタマイズが可能です。

 

With U, 中国

排尿困難を引き起こす病気である神経因性膀胱に苦しむ患者の日常的な要求をサポートするために、現在はカテーテルが使用されています。しかしカテーテルの長期使用は不可逆的な膀胱の廃用性萎縮をもたらす恐れがあります。つまり、そうでなければ将来完治する可能性のある患者が、カテーテルの使用に頼るようになるということです。With Uは神経因性膀胱患者のための回復用製品です。膀胱容量を追跡記録し、排尿の頻度を制御して、廃用性萎縮を防ぐとともに排尿反射が元に戻るのを助けます。

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