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障害者のモビリティを高めるロボット義足

現在市場に流通している義足は独自動力を持たないパッシブ型が主流で膝関節の自律的屈伸ができない為、階段の上り下りや椅子からの立ち上がり等の動作に制限がかかり行動範囲が狭められている。本作品では生体メカニズムに基づく、ロボット技術と身体を融合することによって、軽量、コンパクトかつ電動アシスト機能を備えた義足をデザインし、膝の伸展・屈曲・振出、椅子からの起立、階段の昇降をアシストすることで、障害者のモビリティを高めることができる。また、外観デザインも重視し、性能がよく、審美性が高い義足を生み出す。

概要

現在市場に流通している義足は独自動力を持たないパッシブ型が主流で膝関節の自律的屈伸ができない為、階段の上り下りや椅子からの立ち上がり等の動作に制限がかかり行動範囲が狭められている。本作品では生体メカニズムに基づく、ロボット技術と身体を融合することによって、軽量、コンパクトかつ電動アシスト機能を備えた義足をデザインし、膝の伸展・屈曲・振出、椅子からの起立、階段の昇降をアシストすることで、障害者のモビリティを高めることができる。また、外観デザインも重視し、性能がよく、審美性が高い義足を生み出す。


経緯

☆ 世界では下肢切断者は約1000 万人と推定されている。義足は高価であり、また機能が限られている為、一部の人のみは義足をつけている状況である。本作品のチームリーダーである孫は9歳で右足が切断し、本来は切断後すぐに義足を取り付けるべきであったが、出身国である中国には義足への補助制度がなかったため、義足を購入することは困難であった。5年前に日本の補助制度を利用して初めて義足を装着した。それまで松葉杖に拘束された両手が解放されたが、その後、大手メーカに就職して、仕事をしているうちに、義足の運動性能に対して、色々な問題を実感した。綺麗に歩く、楽に歩く、早く歩く、走るというのは障害者が期待していることであるが、その期待に応えられる義足はまだできていない。 ☆ この近年、人型ロボットが進化してきたので、そのロボット技術を活用し、ロボットと身体を融合することによって、もっと性能のよいものをつくれないかと思った。既存の義足は独自動力を持たないパッシブ型が主流で膝関節の自律的屈伸ができない為、階段の上り下り、椅子からの起立、歩行速度の調整などといった日常生活の動作が困難である。人型ロボットに使われたアクチュエータを生かして、義足の膝にそのようなアクチュエータを搭載して、人間の歩行に合わせえる制御を行えれば、膝の屈伸をアシストできると思った。エンジニア・ユーザ両方の視点から自ら高性能の義足を作りたいという思いを本作品のアイデアのきっかけになっている。


機能

☆ 本作品では障害者のモビリティを高め、生活と仕事への自立による社会への参加推進の一助となる高性能の義足へ挑戦することを目的としている。生体工学、機械要素、センサー要素、アクチュエータ要素,電気制御要素をくみ合わせたロボット膝継手を構築している。アクチュエータの開発と生体メカニズムに合わせる電気制御の構築によって、軽量、コンパクトかつ電動アシスト機能を備えた義足を作ることで、膝の伸展・屈曲・振出、転倒の防止、椅子からの起立、階段の昇降をアシストすることで、障害者のモビリティを高めることができる。本作品のプロトタイプにはアクチュエータ、バッテリー、モータドライバーとコントロール基板、角度センサー、力センサー、IMUセンサー、を含まれている。 ☆ 既存の義足は独自動力を持たないパッシブな物なので、膝関節の自律的屈伸ができなく、色々な動きができなくなる。本作品では、バッテリーからエネルギーを提供し、生体工学に基づく、アクチュエータを制御することによって、膝が力を出すことができる。例えば、平地歩行の際に、人間の膝は0度から60度まで曲がって、60度から0度まで伸びて振り出している。人間の歩行データをベースで、人間の歩行プロファイルを再現して、膝の伸展・屈曲・振出をアシストしている。歩くとき、障害物とぶつかった際、既存の義足はすぐ膝折れしてしまうので、転んだりする。本作品では、障害物を検知して、膝折れしないように、膝が伸びるまで、パワーを出すことで、転倒を防止できる。 ☆ 椅子から立ち上がる際、既存の義足では、膝が力を出すことができないため、健足の力のみに頼るので、体は健足に傾く、不自然である。また、高齢者の場合、健足も弱まってしまっているので、立ち上がりが難しく、義足を装着する意味がなくなるので、車椅子と寝たきりのケースがよくある。本作品では、立ち上がる時、バッテリーのパワーで義足の伸展動作をアシストすることによって、義足側も力を出して、傾きがなく、自然に、楽に立ち上がる。 ☆ 本作品では、制御プログラムを作れば、曲がっても体重を支えので、階段の昇降をアシストすることによって、交互階段の昇降が可能となる。


開発過程

☆ 最初既存義足の課題と義足への要望を調査した上で、開発設計の目標を決めた。既存義足はどのような課題があるのか、どのような義足がほしいのか、理学療法士・義肢装具士にヒアリングした。義足ユーザーを対象としたアンケート調査を実施して、どのようなところが困っているのか、既存の義足でできないけども、何がやりたいか聞きだした。交互に階段上れない、疲れやすい、立ち上がりが難しい等様々な課題が出てきた。また、綺麗に、早く歩きたい、疲れにくいものがほしいという要望が分かった。そういった課題を解決するために、軽量、コンパクトかつ電動アシスト機能を備えた義足を作りたいと考えた。 ☆ 現在ヒューマノイドロボットは人間に近い歩行を実現しているので、最初その技術を義足の設計直接に活用できないかと考えた。多くのヒューマノイドロボットの膝関節はモーターギア駆動のため、どんな動作でもモーターが作動しなければならない、大きいバッテリーが必要となり、大きいと重いので、直接にそのモーターギア駆動を義足の設計に応用するのはが困難である。また、人間の膝の関節は大腿四頭筋と大腿二頭筋による伸展・屈曲の動作を実現できているので、人間の体重を上手く生かしながら、人間の筋肉を模倣するアクチュエータを開発した。シカゴにあるRehabilitation Institute of Chicagoに義足の研究開発設計を修業してきた。義足の設計プロジェクトに携わったに加えて、テストユーザーとして、開発中の最先端の義足を装着し、ロボット義足の良さを実感した。その経験は本作品の義足のデザインにインスピレーションをもたらした。 ☆ 本作品のプロトタイプ繰り返して試作した。設計が終わって、設計通りに、動くかどうか確認するために、3Dプリンターでプロトタイプ1号機を作った。共通パーツはMisumiから購入し、3Dプリンターで加工部品を印刷して、アセンブリした上で、動きを確認したが、色々な問題点を発見した。設計をやり直し、問題を解決した。このような設計プロセスを繰り返し、改善を行った。最終的な設計仕様を決定して、機械加工ベンダー加工部品試作依頼して、共通パーツはMisumiから購入し、全てのパーツを組み立てて、プロトタイプ2号機が出来上がった。 ☆ 生体工学に基づくアクチュエータを動かすために、モータドライバーとコントロール基板の設計を行った。人間の体重を支えるパワーを出す必要がある一方、アクチュエータの限られるスペースに組み込むため、小型化しなければならない。厳しい要求の中に、大出力かつ小型モータドライバーとコントロール基板を作られた。 ☆ 機械と電気ハードウェアを開発してから、生体工学に基づく制御プログラムの開発を行った。プロトタイプを装着して、色々なテストをして、問題点を見つけて、改善を繰り返した。現在、平地に、制御の通り、プロトタイプを動かしており、振出をアシストしてくれている。


差別化

☆ 現行のパッシブ膝継手は、曲がる際に体重を支えられないため、階段の上り下り、椅子からの起立、歩行速度の調整などができない。電子制御機能が加わると歩行速度の変更・追随が可能となるが、体重を支えられない為にパッシブ式と同様の課題が残る。膝関節にモーターギアを搭載したロボット義足は一部商品化が進んでいるが、ヒューマノイドのモーターギア駆動を踏襲しておりエネルギー効率が悪い、フル電動である為重量や体積が大きく、一機1000万円以上するもので、対象利用者が限定される。 ☆ 本作品では、生体工学に基づく人間の筋肉を模倣するようなアクチュエータを開発できた。歩行からのエネルギーを電力回生することによって、システムのエネルギー効率を向上して、義足の小型化・軽量化とバッテリー長持ちに繋げる。また、3Dプリンターを活かすなど製作手法を取り組むことで、コストを抑えて、より安い値段で多くの障害者に義足を届けると考える。ロボット義足の制御は人間との協調性が難しいと思われるので、機械学習を用いて、歩行のパータンと特徴を学んで、義足の制御にフィードバックして、義足の知能化に繋げる。またユーザーからスマホで個人に合わせる設定をカスタマイズできる。


将来の計画

☆ 近い将来、プロトタイプを商品化して、多くの障害者に高性能義足を届けて、障害者のモビリティを高めて、生活クアリティの向上、生活と仕事の自立、社会への参加推進に貢献したいと考える。 ☆ 色々な歩行環境に合わせる制御プログラムの開発を行う。各センサーによる義足の動きと外部環境とのリアクションを検知し、それぞれの状況に応じて、アクチュエータをコントロールして、それぞれの状況に合わせる動きを実現する。多くの障害者が実際に義足を装着してもらって、義足の機能を評価して、フィードバックによって改善を行う。エネルギー効率を高めるため、歩行からのエネルギーを電力回生するシステムを開発する。また、義足と人間の協調性を向上させるため、機械学習を用いて、義足の知能化の開発をしていく。


他アワードでの受賞歴

SXSW 2017 Interactive Innovation Award Student Innovation


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