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Drone Badminton

Drone Badmintonは、ドローンを球として用いることで、弱視者が空中で移動する球を認識しラリーを行う競技を可能にします。ラケットのガットの代わりにセンサーを取り付けることで、フレームを通過したドローンが自動で相手方向に移動するシステムを開発しました。Drone Badmintonは更なる競技の種類の拡大を実現させる可能性を秘めています。

  • Drone Badmintonはドローンを球として用いることで、弱視者が飛行中の球を認識しラリーすることができるシステムです。

  • Drone Badmintonのコンセプトや使用シーンの紹介動画です。

    Drone Badmintonのコンセプトや使用シーンの紹介動画です。

  • Drone Badmintonを行っている様子

  • Drone Badmintonで使用するデバイス

  • これまでのデバイスのプロトタイプ(左:User Testで使用したもの, 中央:柄の部分をなくしたもの, 右:モジュールやセンサーをグリップに内蔵したもの)

  • 弱視者によるユーザーテスト

概要

Drone Badmintonは、ドローンを球として用いることで、弱視者が空中で移動する球を認識しラリーを行う競技を可能にします。プレイヤーは専用のラケットとドローンを用意するだけで、競技を行うことが出来ます。私たちはラケットのガットの代わりにセンサーを取り付けることで、フレームを通過したドローンが自動で相手方向に移動するシステムを開発しました。本プロダクトは弱視者競技の種類を大幅に拡大する可能性を秘めていると同時に、中途弱視者はかつて可能だった上を向いてラケットを振るといった競技を再体験することが出来ます。


経緯

「私は以前行うことができた目線を上げてラケットを振るような競技が出来なくなってしまった」。これは私たちが弱視のフットサルプレイヤーにインタビューをした際に聞いた言葉です。従来の視覚障碍者用に開発された球技では球の中に音源を入れ、バウンドを要するルールを制定することで、バウンド音による音源定位を可能にし、競技を成立させてきました。しかし、空中で球が移動する球技は弱視者にとって行うことが非常に困難であり、これまで目線を上げ上体を反らすような競技は開発されていません。また、視覚障碍者の球技競技の拡大を図る研究や開発は乏しく、弱視者球技の種類や競技内で行う動作は晴眼者に比べ多くありません。この悔しさから私たちは、弱視者の運動機会や選択肢の拡充を目標に、空中で移動するバウンドを必要としない新しい競技領域を生み出すプロダクト開発に取り掛かりました。また、弱視者は周りの環境の安全を確かめることが困難であるため、運動量が少ないことから、肥満やそれに伴う精神疾患にかかりやすいことが問題になっています。そのため、これらの課題を解決するプロダクトの開発の重要性は非常に高いと考えています。


機能

Drone Badmintonは、弱視者にドローンと専用のラケットを使用してもらうことで、全く新しいスポーツ体験を提供します。専用のラケットにはガットの代わりにセンサーが取り付けられており、フレーム内にドローンが通過したかどうかを判定することが出来ます。そのラケットはフレーム部分とグリップ部分が分かれています。数種類の大きさのフレームを用意しているため、プレイヤーは練習の中で自分に合った大きさのフレームをグリップに付け替えることが出来ます。センサーでドローンが通過したことが分かると、コンピュータにスイング時の6軸データが送信されます。コンピュータはこのデータを基に事前に登録されているショットの中から機械学習を用いてドローンに再生させる最適な軌道を選択します。軌道の種類はスマッシュやクリア、レシーブなど様々なものがあります。また、プレイヤーはそれらのショットモーションに加え、ドローンを動かしたい方向に振ることで左右直線のいづれかにドローンを飛ばすことが出来ます。またセンサーが内蔵されているグリップには極力柄のないデザインが施されています。これはプレイヤーの手の位置とフレームの位置を近づけさせることで、距離感を掴みやすくするためです。Drone Badmintonは、競技を行う上でシンプルなシステムデザインのため、サポーターをなるべく必要としない状況での競技の実現を可能にしています。


開発過程

まず私たちが行ったのは、弱視者の球技に対するニーズや空中にある球の認識を困難にしている要因についての調査でした。そこで、それらの調査を行うために、私たちは弱視者のフットサルチームに通いインタビューや行動観察を行いました。インタビューの中で、ボールの大きさが小さいことや、球の移動速度が速くスイングのタイミングが掴めないことがラリーを困難にしていると分かりました。そこで、速度や軌道が調節可能であり、自身から飛行音が発されているドローンを球として用いるアイデアが生まれました。続いて、通常のラケットてラリーを行う場合、ドローンを打ち落としプレイヤーに危険が及ぶ可能性があるため、ラリーを行う仕組みを再開発する必要が生まれました。そこで、ガットの代わりにセンサーをフレームに取り付けることで、ドローンがフレーム内を通過したことを判定し、自動で相手方向にドローンを移動させるシステムを作成しました。システムのプロトタイプを作成したのち、弱視者がどのようなドローンの軌道を好むのかや、ドローンの軌跡を確認することができるのかなどの疑問を解決するために、複数人の弱視者に協力していただきユーザースタディを行うことにしました。その中で、軌跡は半円状の軌道を好むことや、ドローンの軌跡は追えるがフレームが小さいため当たってしまうこと、スイングによる操作性の向上を望むことなどの様々なニーズが分かりました。それらのフィードバックを取り入れて完成したものがDrone Badmintonです。Drone Badmintonでは、フレームの大きさをプレイヤー毎に変えることができるようにフレームとグリップを分けました。グリップ部分は柄の部分を極力無くすデザインにすることで、フレーム部分と手の距離感を近づけるようにしました。これは普段弱視者が手でものを触れることで形状や位置を認識しているため、手とドローンを通過させる距離をなるべく近づけることで距離感を掴むことが出来、ドローンをフレームに通過させやすいという要望に対応するためのデザインです。また、操作性を向上させるためにスイングによってドローンの軌道を決定するような仕様に改良しました。このように常に当事者と開発を共にしフィードバックを取り入れることで、ユーザー体験を向上させる取り組みを続けています。


差別化

これまで弱視者用の球技は球の中に音源を入れ、バウンドを要するルールを制定することで、バウンド音を利用し球の位置を認識させ、競技を成り立たせていました。これらの球技ではプレイヤーは下を向いて行うことを余儀なくされると同時に、同じような動作を行うため競技の種類の幅に制限がありました。そこで私たちは、ドローンの飛行音やプログラミング可能という性質を利用することで、飛行している球を認識でき、これまでにはないラケットを用いて視線を上げながら行う競技を可能にしました。また、仮想空間でのアプローチとして、体を動かすことで画面上のアバターを操作するExergameという種類のテレビゲームを、弱視者用に改良することで運動量を向上させる取り組みが盛んに行われています。しかし、Exergameでは性質上テレビの前から動かないことにより、全身の運動量をあげにくいことが問題でした。Drone Badmintonでは、プレイヤーがドローンをスイングによって移動させることができることから、全身運動を促します。


将来の計画

私たちは、世界中に多く存在する弱視者の運動機会や競技の選択肢をDrone Badmintonにより大幅に拡大することを最終目標としています。そのためには、より操作性を向上しつつドローンの認識力を高めるようなデバイスの開発、フィードバックを多く取り入れるための弱視者コミュニティの形成、それらを可能にする資金調達を主として行っていく必要があります。現在、機械学習を用いることで事前に決められた軌道の中から、スイングに合わせたものをドローンに再生するように命令しています。しかし、より自由性の高いドローンの移動を実現させるためには、スイングに合わせて随時軌道が構築されドローンに命令する仕様などが好まれます。また、ドローンは市販のものを使っていますが、よりDrone Badmintonのデザインに適切なドローンの開発を行うことができる企業との提携を望んでいます。私たちは弱視者の意見を多く取り入れてきており、これからは世界中の弱視者との交流を図ることのできるコミュニティを求めています。最後に、私たちは以上のことを可能にする資金調達を行うことが必要だと考えています。Drone Badmintonを認知させると同時に、国内外問わず協力してくださる企業を探したいと考えています。 Drone Badmintonは、弱視者競技のプラットフォームとしての可能性も秘めているため、様々なアプリケーションを生み出されることで、弱視者の競技領域を拡大することを可能にすると信じています。


他アワードでの受賞歴


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